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暗号資産レンディングとは?仕組み・リスク・注意点を初心者向けに整理する

· なつみかん

はじめに

前回の記事では、ビットコイン積立の仕組みとリスクを整理しました。暗号資産は価格変動が大きく、元本保証も預金保険制度の保護もない資産です。

今回は、保有する暗号資産を事業者に貸し出し、貸借料を受け取る仕組みである「暗号資産レンディング」について、収益の仕組みとリスクを整理します。

本記事は、仕組みとリスクの概要を把握することを目的としています。特定のサービスの利用を推奨するものではありません。


暗号資産レンディングとは

暗号資産レンディングとは、保有する暗号資産をレンディング事業者に貸し出し、その対価として利息(貸借料)を受け取る仕組みです。

大まかな流れは次のとおりです。

  1. 貸す:利用者が保有する暗号資産をレンディング事業者に預ける
  2. 事業者が運用:事業者は受け取った暗号資産を第三者への貸付・裁定取引・流動性提供等に活用する
  3. 貸借料を受け取る:利用者は約定した利率・期間に従って貸借料を受け取る

レンディングは、暗号資産を安全に保管してもらうサービスではなく、事業者に貸し出して対価を受け取る仕組みです。そのため、事業者が返還できなくなるリスクを利用者が負う点に注意が必要です。

一見、銀行に預金して利息を受け取る仕組みと似ています。しかし、本質的に異なる点があります。

項目銀行預金暗号資産レンディング
元本の保証預金保険制度により、原則として1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息等が保護保証なし
規制・監督銀行法に基づく金融庁の監督下暗号資産交換業とは異なる枠組みで提供される場合があり、利用前にサービスの法的位置づけを確認する必要がある
資産の性質法定通貨(円)法定通貨ではない。価格変動リスクがある
利率の根拠政策金利等に連動需給・リスクプレミアムによって変動

「利息が得られる」という点だけに注目すると、銀行預金の延長線上で捉えがちです。しかし、レンディングには預金にはないリスクが複数存在します。


なぜレンディングが注目されるのか

日本の銀行預金の金利が低い時期が長く続いてきた背景から、より高い利率を求める資産運用の手段として暗号資産レンディングが注目されることがあります。

レンディングの利率はサービス・取り扱う通貨・市場環境によって大きく異なりますが、年利数%〜10%程度を提示するサービスが存在します。ただし、提示利率は固定的に保証されるものではなく、対象通貨・貸出期間・市場環境・事業者の条件によって変動します。

  • NISAのような税制優遇はないが、積立投資とは異なる形でインカムゲインを得られる
  • FXスワップポイントと同様に、一定期間ごとに収益が発生する形式。ただし、暗号資産を事業者に貸し出すため、事業者リスクや返還リスクを負う点が異なります
  • 保有している暗号資産を貸し出すことで、貸借料を得る手段として検討される

ただし、利率の高さはリスクの高さと表裏一体です。後述するリスクを理解したうえで判断することが重要です。


レンディングの仕組みをもう少し詳しく

事業者はどのように暗号資産を運用するのか

事業者が具体的にどのように暗号資産を活用しているかは、十分に開示されない場合があります。一般論としては、以下のような活用方法が説明されることがあります。

  • 第三者への貸付:法人・個人トレーダーへのマージン取引用の貸付
  • 裁定取引(アービトラージ):取引所間の価格差を利用した取引
  • 流動性提供:分散型取引所(DEX)等への流動性提供

いずれも事業者の運用能力・リスク管理に依存します。事業者が損失を被った場合、利用者への元本返済・利息支払いに影響が出る可能性があります。

利率が高い理由

レンディングの利率が銀行預金より高い背景には、リスクプレミアムがあります。つまり、「元本保証がない」「事業者が破綻するリスクがある」「暗号資産の価格変動リスクを負う」といったリスクに対する上乗せ金利です。

高い利率は、それだけ高いリスクを引き受けていることの裏返しです。

複利運用の有無

サービスによっては、受け取った利息を自動的に再投資する複利運用が選択できる場合があります。長期的には複利効果で残高が増えやすくなりますが、その分リスクにさらされる資産額も増えることになります。


レンディングのリスク

レンディングには複数のリスクが重なります。この点を十分に理解することが重要です。

事業者リスク(最重要)

最も深刻なリスクは、レンディング事業者自体の破綻・不正・業務停止です。

事業者が破綻した場合、貸し出した暗号資産が返還されない可能性があります。利用者の資産は分別管理されていることが望ましいですが、実際に事業者破綻時に利用者資産がどのように扱われるかは、事業者の財務状況・法的手続きによって異なります。

過去の事例として、以下のケースが実際に発生しています。

  • BlockFi(2022年):FTX破綻の余波を受けて経営破綻。利用者の資産返還が長期化
  • Celsius Network(2022年):出金を突如停止し、破産申請。利用者資産が凍結

これらはいずれも「大手」と見られていたサービスでした。「規模が大きいから安全」とは言えないことを示す実例です。

また、暗号資産レンディング事業者の中には、金融庁に暗号資産交換業者として登録していても、レンディングサービス自体が別の法的枠組みで提供されているケースがあります。利用前に、事業者がどの法令に基づいてサービスを提供しているか確認することが重要です。

ロックアップリスク

多くのレンディングサービスでは、一定期間(数週間〜数ヶ月)は資産を引き出せない「ロックアップ期間」が設定されています。

この間に暗号資産の価格が急落しても、売却・引き出しができません。結果として、価格回復を待つか、引き出しができた時点で大きな損失を確定させるかという状況になる可能性があります。

サービスを選ぶ際には、以下を必ず確認してください。

  • ロックアップ期間の長さ
  • 途中解約の可否・条件
  • 途中解約時のペナルティ(利息放棄、手数料など)

価格変動リスク

前回の記事で説明したとおり、暗号資産は価格変動が非常に大きい資産です。

レンディングで年利5〜10%相当の貸借料を受け取っても、貸し出している暗号資産の価格が30〜50%下落すれば、円建ての資産価値は大きく毀損します。利率だけを見て判断すると、元本の価格変動リスクを見落とします。

「利息で稼ぐ」と「元本を守る」は別の話です。

税制

レンディングで得た貸借料は、雑所得として課税対象です。

株式の配当所得(申告分離課税・税率約20%)と比べて、税制上の負担が大きくなりやすい点は認識しておく必要があります。税制は個人の状況や法改正によって変わるため、詳細は税務署や税理士等にご確認ください。


レンディングサービスを選ぶ際の確認ポイント

特定のサービスを推奨する立場ではありませんが、検討の際に確認すべき項目をチェックリスト形式で整理します。

事業者に関して

  • 金融庁への登録状況(暗号資産交換業者としての登録有無)
  • 運営会社の所在地・設立年・運営実績
  • 過去のセキュリティインシデントの有無と対応履歴
  • 資産の分別管理・保全体制の開示状況

サービス条件に関して

  • 対応通貨と適用利率(利率の根拠・変動ルール)
  • 最低貸出額
  • ロックアップ期間の有無と長さ
  • 途中解約の可否・条件・ペナルティ
  • 複利運用の有無

コストに関して

  • 出金手数料・送金手数料
  • スプレッドの有無

複数サービスを比較する場合、利率だけでなく上記すべての条件を総合的に評価することが重要です。

なお、金融庁への登録がある場合でも、レンディングサービス自体の法的位置づけや資産返還条件は個別に確認する必要があります。


なつみかん投資ラボでのレンディングの位置づけ

なつみかんポートフォリオ紹介で述べたとおり、なつみかん投資ラボでは18サービスを「同じ条件で横並び比較する」ことを目的としています。

このうち暗号資産レンディング枠としてBitLendingとPBRlendingの2サービスを運用しています。ただし本記事では、これらのサービス名に言及するにとどめます。各サービスの詳細なレビュー・評価は、実績データが積み上がった段階で別途比較記事として公開する予定です。

18サービスを選んだ理由でも説明しているとおり、ポートフォリオに含めた理由は次の2点です。

  1. 暗号資産の価格変動リスクに、貸借料収入と事業者リスクが加わった場合のリスク・リターン特性の確認:NISA積立・ロボアドバイザーといった比較的リスクが低い資産と並べて、どの程度リスクとリターンが異なるかを実データで検証する
  2. 事業者リスクの実態を記録する:レンディング特有の「事業者破綻リスク」がどの程度顕在化するかを、長期で観察する

良い結果も悪い結果も、そのまま公開していく予定です。


まとめ

暗号資産レンディングを検討する前に、以下の点を整理しておくことが重要です。

  • レンディングは暗号資産を貸し出して貸借料を得る仕組みだが、銀行預金とは根本的に異なる(元本保証なし・預金保険制度の対象外)
  • 利率が高い理由はリスクプレミアムであり、高利率はそれだけ高いリスクを引き受けていることの裏返し
  • 事業者破綻リスクが最重要。過去に複数の大手サービスが経営破綻し、利用者資産が返還されない・長期凍結されるケースが発生している
  • ロックアップリスクにより、価格急落時に売却・引き出しができない可能性がある
  • レンディングで利息を得ても、元本の暗号資産自体の価格下落で円建て損失になりうる
  • 貸借料は雑所得として課税対象(現行制度では、所得状況によって最大約55%となる可能性がある)

※ 本記事は、筆者個人の運用記録および一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産レンディングサービスの利用を推奨・勧誘するものではありません。掲載内容は筆者個人の見解であり、将来の運用成果を保証するものではありません。暗号資産レンディングには元本損失リスク、事業者破綻リスク、ロックアップリスク、価格変動リスク等があります。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

※ 記事内の事例・税制は執筆時点(2026年5月)の情報に基づきます。規制・税制は今後変更される可能性があります。最新情報は金融庁の公式ウェブサイトおよび税務署等でご確認ください。