#FXスワップ #運用実績 #メキシコペソ #トルコリラ #南アフリカランド

FXスワップ実績を公開 — 1年2ヶ月で見えたスワップ収益と為替損益の違い

· なつみかん

はじめに

FXスワップ投資とは?の記事では、スワップポイントの仕組みと、為替変動リスクを常に抱える構造を整理しました。今回はその続編として、私が実際に約1年2ヶ月運用してきた通貨ペア別の損益を、すべて数字で公開します。

一般的な比較サイトでは「現在のスワップポイントは1日◯円」といった情報が中心で、実際に1年以上保有した場合のトータル損益まで分解している例は多くありません。この記事では、その一次情報を提示します。

結論を先に言うと、いちばん意外だったのは「最終的な損益には、スワップ収入だけでなく為替の値動きが大きく影響していた」という事実でした。順番に見ていきます。

本記事は、筆者個人の運用実績を記録・検証するものであり、特定の通貨ペアやFX会社の利用を推奨するものではありません。


検証の前提

まず、今回の数字を読むうえでの前提を整理します。

項目内容
データ取得元BigQuery(みんなのFXの取引レポートを日次で集計)
集計基準日2026年5月27日時点
主な運用期間2025年4月〜2026年5月(約1年2ヶ月)
為替損益の対象期間ポジション保有開始(2025年4月〜)以降の含み損益+確定損益
スワップ集計期間2026年1月1日〜2026年5月27日(2025年中に受け取った分は本集計に未反映)
対象口座みんなのFX LIGHT口座(クロス円4ペア)/通常口座(CHF建て3ペア)
損益の内訳スワップ累計+為替損益(含み損益+一部決済済みの確定損益)

「為替損益」は、現在保有中ポジションの含み損益に加えて、期間中に一部決済したポジションの確定損益を合算しています。本記事では参考損益=スワップ累計(2026年〜)+為替損益として計算しています(「純損益」ではなく「参考損益」と呼ぶ理由は次のとおりです)。

重要な注意点:スワップ累計と為替損益では集計期間が異なります。 為替損益はポジション保有開始(2025年4月〜)以降の含み損益・確定損益を対象にしているのに対し、スワップ累計は2026年1月以降の集計値です。

これは、みんなのFX側で2025年末に受け取り済みスワップを引き出した際にポジション残高上のスワップがリセットされ、2025年中(運用開始の2025年4月〜2025年12月)に受け取ったスワップの履歴が現在のデータには残っていないためです。今後は運用開始時点からの通算でスワップ累計を集計できるよう、データ取得・保管の仕組みを整備していきます。

そのため、本記事の各表で示している損益は、全運用期間の正確な純損益ではなく、現時点で確認できるデータから合算した「参考損益」としてご覧ください。同様に、後述する「スワップ寄与率」も2026年以降に受け取った約5ヶ月分のスワップを現在の参考損益と比較した参考値です。2025年中に受け取ったスワップを含めれば、実際の損益・寄与率はこれより良くなります。

なお、CHF建てクロスペア(CHF/MXN、CHF/ZAR、CHF/TRY)は2026年5月に運用を始めたばかりで、まだ3週間ほどの実績しかありません。判断材料としては不十分なため、本記事では参考扱いとします。


結論:7通貨ペアの参考損益一覧

まず、全体像です。スワップ累計は2026年1月以降の集計値です。

通貨ペア口座スワップ累計(2026年〜)為替損益参考損益
MXN/JPY(メキシコペソ)LIGHT¥352,086+¥3,489,857+¥3,841,943
HUF/JPY(フォリント)LIGHT¥234,650+¥2,514,600+¥2,749,250
ZAR/JPY(南アフリカランド)LIGHT¥227,655+¥2,118,600+¥2,346,255
TRY/JPY(トルコリラ)LIGHT¥583,633-¥943,970-¥360,337
CHF/ZAR通常¥5,786+¥44,868+¥50,654
CHF/TRY通常¥13,739-¥6,269+¥7,470
CHF/MXN通常¥8,514-¥4,869+¥3,645

※ ここでの「参考損益」は、2026年以降のスワップ累計と、ポジション保有開始(2025年4月〜)以降の為替損益を合算した参考値です。2025年中(2025年4月〜12月)に受け取ったスワップは未反映のため、全運用期間の正確な純損益ではありません。2025年分スワップを含めれば、各通貨ペアの実際の損益はこれより良くなります。

LIGHT口座のクロス円4ペアだけを見ると、2026年以降のスワップ累計は¥1,398,024、為替損益は¥7,179,087でした。

ここで2つの「意外」が見えてきます。

  1. 2026年以降のスワップを最も多く受け取ったTRY/JPY(¥583,633)が、参考値ベースではマイナス(-¥360,337)になっている
  2. 参考損益がプラスだったペアでは、2026年以降のスワップ累計よりも為替の値上がりのほうが大きく効いている

この2点を、それぞれ掘り下げます。


参考損益がプラスだった3ペアの中身

まず、ポジションのエントリー状況です。

通貨ペア保有数量平均取得単価概算の現在レート運用開始
MXN/JPY140万通貨7.71円約9.19円(+19.3%)2025年4月
HUF/JPY2,500万通貨0.4481円約0.5201円(+16.1%)2025年4月
ZAR/JPY100万通貨8.26円約9.75円(+18.0%)2025年4月

※平均取得単価・現在レートは、現在保有中ポジションの加重平均からの概算値です。

3ペアとも、エントリーから16〜19%ほど対円で値上がりしています。この期間は円安基調が続いた局面であり、新興国通貨が対円で上昇したことが、含み益を押し上げた最大の要因でした。

つまり、これらのペアがプラスになったのは「高スワップだったから」というより、「たまたまこの期間、対円で上昇したから」という側面が大きいと言えます。逆に円高局面では、同じポジションが含み損に転じる可能性があります。


スワップ収入と為替損益を分けて見る

ここがこの記事でいちばん伝えたい点です。FXスワップ運用では、損益を「スワップ」と「為替」に分解して見ることが重要です。

ただし、その前にひとつ注意点があります。本記事で表示しているスワップ累計は2026年1月以降の約5ヶ月分のデータであり、為替損益の対象期間(2025年4月以降)とは一致していません(前述の「検証の前提」で説明したとおり、2025年中に受け取ったスワップは現在のデータに残っていないためです)。そのため、以下の「スワップ寄与率」は、運用開始から現在までの厳密な寄与率ではなく、2026年以降の約5ヶ月分のスワップを現在の参考損益と比較した参考値です。2025年中に受け取ったスワップを含めれば、実際の寄与率はこれより高くなります。

その前提で、参考損益がプラスだった3ペアについて、参考損益に占める2026年以降のスワップの割合を見てみます。

通貨ペア参考損益2026年以降のスワップ累計参考寄与率
MXN/JPY+¥3,841,943¥352,086(参考)9.2%
HUF/JPY+¥2,749,250¥234,650(参考)8.5%
ZAR/JPY+¥2,346,255¥227,655(参考)9.7%

この参考値で見ると、参考損益の大部分は2026年以降のスワップではなく、**為替の値上がり(キャピタルゲイン)**から来ていることが分かります。LIGHT口座4ペア全体で見ると、為替損益¥7,179,087に対し、2026年以降のスワップ累計は¥1,398,024でした。

インカムゲインとキャピタルゲインの違いの記事で整理したとおり、FXスワップは本来「インカムゲインを狙う投資」として語られます。しかし私の運用実績では、損益を大きく動かしていたのは為替変動(キャピタルゲイン)の側でした。

ここで強調したいのは、寄与率の正確な数字そのものよりも、「スワップ投資であっても、最終損益は為替変動に大きく左右される」という構造です。「スワップ投資はインカム投資だから値動きは気にしなくてよい」という考え方は、実態と合っていない可能性があります。スワップはあくまで損益の一部であり、為替が逆方向に動けば、積み上げたスワップを一気に上回る損失が出ることもあります。次の例がまさにそれです。


参考損益がマイナスだったTRY/JPY — 高スワップでも為替損が上回った

トルコリラ/円は、4ペアの中で2026年以降に最も多くスワップを受け取った通貨ペアです。¥583,633は、2位のMXN/JPY(¥352,086)の1.6倍にあたります。トルコの政策金利が非常に高い水準にあるため、スワップポイントも高くなりやすいのです。

ところが、参考損益は**-¥360,337**。今回の集計範囲ではマイナスでした。理由は為替損です。

項目金額
スワップ累計(2026年〜)+¥583,633
為替損益(含み+確定)-¥943,970
参考損益-¥360,337

トルコリラは対円で下落し、為替の損失(-¥943,970)が2026年以降のスワップ収入(+¥583,633)を約36万円分上回りました。コツコツ受け取ったスワップを、為替の下落が飲み込んだ形です。

なお、ここでの参考損益には2025年中(2025年4月〜12月)に受け取ったスワップが反映されていません。2025年分のスワップを含めれば、TRY/JPYの通算損益はプラスに転じている可能性もあります。それでも、為替損益のマイナスが大きいという構造は変わらず、「高スワップ通貨ほど為替変動リスクも大きい」という事実は実データに現れていると考えています。

これは、FXスワップ投資とは?の記事で触れた「高スワップには、それに見合った為替変動リスクがある」という構造が、実データで現れたケースだと考えています。スワップポイントの高さは、その通貨が抱えるインフレや通貨安リスクの裏返しでもあり、高スワップ=有利とは限りません。

「スワップが高いペアを選べば勝てる」という発想だと、最もスワップが高かったTRY/JPYを最優先で選ぶことになりますが、参考値ベースでは唯一のマイナスでした。スワップの高さだけで通貨ペアを選ぶことの危うさが、ここに表れていると思います。


CHF建てクロスペア — まだ判断材料が乏しい

通常口座で運用しているCHF(スイスフラン)建てのクロスペア3つは、2026年5月に始めたばかりです。

通貨ペア参考損益運用期間
CHF/ZAR+¥50,654約3週間
CHF/TRY+¥7,470約3週間
CHF/MXN+¥3,645約3週間

3週間ではスワップも為替もほとんど動いておらず、傾向を語れる段階ではありません。低金利通貨のスイスフランを売って高金利の新興国通貨を買う構成のため、クロス円とは異なるリスク特性を持ちます。この検証は、今後の月次レポートで継続して追っていく予定です。


1年2ヶ月でわかった5つの教訓

実データを振り返って、現時点で言えることを整理します。

  1. 損益には為替変動が大きく影響していた。本記事で確認できる2026年以降のスワップ累計だけを見ると、参考損益に対する寄与は限定的に見えます。ただし、スワップ集計期間(2026年〜)と為替損益の対象期間(2025年4月〜)が異なるため、寄与率はあくまで参考値です。重要なのは、スワップ投資であっても、最終損益は為替変動に大きく左右されるという点です。
  2. 最もスワップを多く受け取った通貨ペアでも、為替損によって参考損益がマイナスになった。TRY/JPYは2026年以降の累計スワップでは1位でしたが、為替損益のマイナスが大きく、今回の集計範囲ではマイナスになりました。
  3. 今回のプラスは円安局面に支えられている。MXN・HUF・ZARはいずれも対円で16〜19%上昇しており、円高に振れれば含み益は縮小・反転する可能性があります。
  4. 分散は一定の効果があった。ただし万能ではない。TRY単体は参考値ベースでマイナスでしたが、他3ペアの利益でカバーでき、LIGHT口座全体ではプラスを維持しています。ただし、これは今回の期間で他3ペアが対円で上昇したためであり、すべての新興国通貨が同時に下落する局面では、分散していても損失が拡大する可能性があります。
  5. 数字を継続記録することで初めて「スワップと為替の比率」が見える。日々のスワップ額だけを見ていると、為替損の大きさを見落としがちです。

いずれも「こうすべき」という話ではなく、私の運用記録から見えた事実です。同じ手法が将来も同じ結果になる保証はありません。


なつみかん投資ラボでの今後の検証

なつみかん投資ラボでは、FXスワップを含む8カテゴリの運用実績をポートフォリオページで毎日更新しています。FXスワップについては、通貨ペアごとのスワップ累計・為替損益・純資産の推移を継続記録し、為替局面が変わったときに損益構造がどう変化するかを追っていきます。今後は、スワップ累計についても運用開始時点からの通算で集計できるよう整備し、より正確な寄与率を示せるようにしていく予定です。

特に注目しているのは、円高局面に転じたときに、今回の含み益がどこまで耐えられるか、そしてスワップ収入が下支えとしてどれだけ機能するかです。あわせて、証拠金維持率・実質レバレッジ・ロスカットまでの余裕度も記録し、スワップ収益だけでなくリスク管理の観点からも検証していきます。相場環境が変わったときこそ、この検証の価値が出ると考えています。

なお、FX会社を選ぶ際は、スワップポイントだけでなく、スプレッド、取引単位、ロスカットルール、証拠金維持率の条件なども確認することが重要です。

また、FXで得た利益はNISAの対象外で、税務上の扱いも株式や投資信託とは異なります。詳しくは『手取りリターン』を考えるの記事も参考にしてください。税制は個人の状況によって異なるため、必要に応じて税務署や税理士等にご確認ください。


次に読みたい記事


参考情報・データソース

  • 為替レート: ECB公表レート、Frankfurter API、みんなのFX取引レポート等をもとに円換算
  • スワップポイント: みんなのFX取引レポートに記録された実受取スワップを集計(公開されている参考スワップ値ではなく、実際の受取額。集計期間は2026年1月以降)
  • ポートフォリオ実績: BigQuery集計データ(みんなのFX取引レポートを日次で集計、毎日自動更新)

※ 本記事は、筆者個人の運用記録および一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入、売却、保有、投資判断を推奨・勧誘するものではありません。掲載内容は執筆時点の情報に基づくものであり、将来の市場環境や運用成果を保証するものではありません。投資には価格変動、為替変動、金利変動、流動性、信用リスク等があります。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

※ 記事内のスワップポイント・金利差等の数値は執筆時点の参考値です。スワップポイントは毎日変動し、政策金利の変化により大幅に減少・消滅・マイナス転換する可能性があります。FX取引は証拠金取引であり、為替の急変時にはロスカットや預託証拠金を超える損失が発生する可能性があります。詳細・最新情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。